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「安心できる部屋」がほしい

たとえば、日雇い労働者のまち大阪の釜ヶ崎(正式にはあいりん地区)などの人たちには、このような事情がよく現れている。ホームレスをなくそうという目標をかかげた国際居住年の1987年暮れ、わたしははじめて釜ヶ崎の越冬パトロールに参加した。地元のキリスト教団体、労働団体、ボランティアの人たちと一緒に、布団、毛布、おにぎり、みそ汁の入った魔法瓶などをリヤカーに積んで、深夜の冷えきったまちに出かけた。路上、公園、灌木の茂みのそこかしこにうずくまり眠る姿がある。

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布きれやダンボールにくるまっている者もいる。上からそっと布団をかける。「ひとりの凍死者も出すな」、これが目標である。釜ヶ崎は、年末になるとふだん以上ににぎわう。北海道、九州、そのほか遠方の建設現場で働いていた労働者たちがもどってくる。釜ヶ崎でながく過ごした人たちには、ここが心の故郷なのである。ふるさとの現実は、狭苦しいドヤ(木賃宿)やアオカソ(野宿)で、労働の疲れ、ストレスは癒しがたい。それでも「住人」はもどってくる。もとの仲間に会うこと、住みなれたまちにもどってくることで心が安らぐのである。先頭を歩いている案内役に声をかけた。